前回は、『犬のノミアレルギーの原因と症状・治療・駆除方法について』をお伝えさせていただきました。

一昔前に比べ、街中で野良犬を見ることが少なくなったかと思います。

田舎に行けば、まだ野良犬が多くいる地域もあるかもしれませんが、それでも確実に野良犬の数は減っています。

『犬を捨てたりする人の数が減ったんだな。』と思うかもしれませんが、現実はそうではありません。

現在も日本では、日々、保護された犬や猫が多く殺処分されています。

環境省の『犬・猫の引き取りおよび負傷動物の収容状況』(平成25年度)によると、

家庭の事情で保健所に連れてこられた犬が1万1769頭、所有者不明で保護された犬が4万9042頭、合計で年間6万頭以上が動物愛護センター(保健所)に持ち込まれています。

問題はそこからで、家族の元へ無事帰ることができた犬が1万5129頭、里親が見つかり引き取られた犬が1万6963頭で、大変悲しい話ですが、殺処分された犬が年間2万8570頭もいるのです。

各自治体の努力もあり、犬・猫の殺処分の数は年々減少傾向にあるといわれますが、それでも動物愛護センターに持ち込まれる犬や猫の数は相当なものになります。

愛犬家の方には信じがたい事実かもしれませんが、飼育を放棄される犬は後を絶ちません。

そこで今回は、『捨て犬は最後どうなる?助けるためには里親が必要?』をテーマにお話させていただきたいと思います。




愛犬が捨てられる悲しい理由とは?

一度飼われたほとんどの犬は、その家族と最後まで伴侶として幸せに過ごします。

しかし、すべての犬が大切に飼ってもらえるかというと、決してそうではありません。

飼育放棄により、捨てられ動物愛護センターに持ち込まれたり、連絡が入ることも多いのです。

現在、お家に愛犬がいる飼い主さんなら『愛犬を捨てるなんてあり得ない!!』と強く思われると思いますが、世の中には、なくなく飼育を放棄する飼い主さんもおられます。

では、一般的にどのような理由が多いのでしょうか?

愛犬の飼育が放棄される理由

〇身寄りのない高齢の飼い主が老人ホームなどの施設に入った

〇飼った後に、家族の中に犬アレルギーがいることが分かった

〇海外転勤やペット不可の物件に住まなくてはならなくなった

〇家計が苦しくなり、泣く泣く愛犬を手放した

〇ご近所から”鳴き声がうるさい”等のクレームがきてしまった

〇結婚した相手が重度の犬嫌いであった

〇犬との相性が悪かった

実は、このような理由から自らの手で動物愛護センターに引き取ってもらうケースは意外に多いのです。

いきなり、動物愛護センターに連れていく方は少ないと思いますが、急きょ引き取り手を探したり、友人や親せきを当たってみて、ダメだった場合は『可哀想だけど仕方ないか。。。』となってしまうようです。

しかし、もっと悲しいのは、ごく一部のブリーダーや繁殖家たちによる飼育放棄です。

度々、ニュースでも取り上げられたこともあるため、ご存じの方も多いはずです。

例えば、福岡県太宰府市で見つかった繁殖小屋で、23匹が衰弱死しているのが発見され、49歳のブリーダーが書類送検された事件は有名です。

本来、ブリーダーとして活動するには自治体に届けを出さなければならず、環境省によると約1万7000件が届け出を出しているのですが、無届け業者はその倍以上もいるといわれており、まだまだ犬の悲しい事件は終わりそうにありません。

ブリーダーもビジネスなのですが、ほとんどの繁殖家は、動物の生態を理解し、生活菜犬小屋で愛情一杯飼育・繁殖を行っています。

ただ、一部の繁殖家が、劣悪な衛生環境で何百匹という大量の犬にまともにエサも与えずに交配させ、繁殖させているのです。

もし、繁殖が無理だと判断された犬がいれば、動物愛護センターに持っていくか、ひどい場合、餓死させたり、飼育を放棄するなどしているのが現状です。

捨てられたパグ

 

捨て犬はどうなる?『動物愛護センターの対応』

では、動物愛護センターに持ち込まれた犬はどうなるのでしょうか?

自らの手で動物愛護センターに愛犬を持ち込んだ飼い主さんは、『里親が見つかればいいな。』と甘い考えかもしれませんが、現実は非常に冷酷です。

各自治体により差はありますが、動物愛護センターに持ち込まれた犬は、数日後(例:3日後)に殺処分されます。

これは、紛れもない真実です。

『別にすぐに殺さず、里親が見つかるまで待ってあげればいいじゃない!』こう思われる人もいるでしょう。

しかし、何万頭といる犬すべてに里親を見つけ、譲渡するのは現実的ではありませんし、運び込まれた犬を飼育するのは、大変お金のかかることで、それに税金が使われるのも問題があります。

また、もし動物愛護センターに持ち込まれた犬が幸せに生活できるように飼育されるとしたら、今よりももっと多くの犬が運び込まれるかもしれません。

これらを考慮すると、動物愛護センターに持ち込まれた犬は、数日で殺処分されることが容易に想像できます。

では、殺処分はどのようにされるのでしょうか?

実は、『動物の愛護及び管理に関する法律』という法律があり、その中に『第40条第1項 動物を殺さなければならない場合には、できる限りその動物に苦痛を与えない方法によってしなければならない。』と記されています。

これを受け、殺処分は高濃度の二酸化炭素を使い、昏睡させて自発呼吸の停止を促し、最終的には焼却する方法が一般的ですが、地方では未だ古い殺処分を行っているという話もあります。

『犬に苦痛を与えない方法で殺処分してるんだからよかった』と思うのは大間違いです。

私は、以前犬が殺処分される一部始終を捉えた映像を見たことがありますが、犬たちの苦しむ姿をまともに見ることができませんでした。

二酸化炭素には、麻酔作用があるといわれ、行政は『安楽死』という言葉を使いますが、決して『安楽死』ではありません。

殺処分の映像の苦しむ犬たちを見ればそれは明らかです。

ですが、行政は殺処分をできるだけ避けるため、飼い主への返還や里親への譲渡などに力を注いでおり、年々その数は増えているといいます。

では、もっとも非難を浴びなければならないのは一体誰か?

それは、『愛犬を捨てた心無い飼い主』なのです。

殺処分を分かっていながら、動物愛護センターに持ち込むことはどんな理由があれ、決して許されることではありません。

怒る

 

ドイツは殺処分ゼロ?犬を助けるためには里親が必要

年間、捨てられる犬がたくさんいることを知って、『犬を殺処分しないなんて不可能』だと感じるかもしれません。

しかし、”殺処分ゼロ”は不可能ではありません。

なぜなら、実際にそれを達成している国があるからです。

ドイツでは、犬の殺処分ゼロを実現しており、保護動物のシェルター『ティアハイム』が1000以上もあり、動物が欲しい人はシェルターに会いに行く(下記写真)というシステムが完成されており、ティアハイムに入った犬は期限なく、そこで生活することができます。

ティアハイム

ティアハイム②dogstylingsalon-mele.a-thera.jp

ドイツには700以上の動物愛護団体があり、仮に殺処分される場合も『脊椎動物は麻酔下においてのみ、あるいは状況により痛みを回避することでのみ、やむを得ず殺されることとする』という法律はあるものの、日本のように”引き取り手がいない”、”持ち込まれてから数日が経過した”などの理由は認められていません。

殺処分の正当な理由にあたるのは、
『病気で、獣医師の正当な理由がある場合』
『人間に危害を加えた場合』
などです。

ドイツと日本の違いは、殺処分ゼロ(ドイツ)と年間何万頭の殺処分(日本)だけではありません。

なんと、ティアハイムで生活している犬の90%に飼い主が見つかるというのです。

これは、大変素晴らしいことで、飼い主のいない犬はティアハイムで生活し、かなりの高確率で里親が見つかる、という仕組みが完成されていることを証明しています。

ただ、日本も全く動きが無いわけではありません。

動物愛護に力を入れている自治体は、定期的に譲渡会を開催したり、自治体から捨て犬を預かり、清潔な環境で飼育されながら、譲渡会を開催するボランティア団体やNPO法人も存在しています。

最近では、日本国内に『里親探し』が注目されてきていて、動物病院と提携した里親探しのマッチングサイトなどもあります。

日本全国の動物病院に保護されている、または動物病院が里親探しをしている犬・猫たちを動物病院が主体となって、新しい家庭へ譲渡するものです。

一番の特徴は、動物病院と提携しているという安心感です。

本来は、飼い主さんが主体的に行う健康診断は、譲渡の際に動物病院で行われ、犬の健康状態や衛生面についても専門家による的確な情報を提供してもらえるので、安心して新しい家族として迎え入れることができます。

これからも、『里親探し』そして『犬・猫の殺処分ゼロ』という動きがもっと活発になることを願っています。

犬 殺処分ゼロelectrocute.

いかがだったでしょうか?

今回は、『捨て犬は最後どうなる?助けるためには里親が必要?』についてお話させていただきました。

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