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前回は、『犬のアレルギーフードは必要か?【フードの種類】』についてお話させていただきました。

今回は、犬の感染症についてお話させていただきたいと思います。

感染症とは、体内に病原体が入り込み、増殖することで発生する病気で最も重要な対策がワクチンです。

ワクチンに関する記事はこちら➡成犬のワクチン接種について【予防できる病気一覧】

例えば、狂犬病では年に一回の接種が法律によって義務付けられており、その他の主な感染症でも有効なワクチンを適切に接種することで最小限の副反応で高い効果を得ることができます。

このように、感染症は予防していればかかる可能性は限りなく少ないですが、犬を飼う飼い主さんは最低限”犬の感染症”に関する知識を身につけておかなければなりません。

そこで、比較的有名な感染症の症状や原因、治療、予防などについてご紹介していきたいと思います。




狂犬病

後発犬種:なし

症状:人を含むすべての哺乳動物に感染し、発症するとほぼ100%が死亡に至ってしまうという恐ろしい病気です。

犬同士や犬から人への感染は、主に噛まれた犬から感染します。

潜伏期間では、動物では10日~数か月ですが、人では感染してから数年後に発症した例もあります。

現在、日本は世界でも狂犬病の発生が少ない国の一つとして数えられています。

狂犬病の症状としては、初期に発熱、不安、緊張などが見られます。

暗い場所に隠れたり、急に飼い主に対して近寄らなくなったり凶暴になるような変化があり、過剰な攻撃性と興奮性が発現します。

具体的には、便や医師を食べる、水や風を恐れたり、よく吠える、人にかみつくなどの行動があり、人や犬にかみつくのはこの時期とされます。

その後、麻痺がおこって水や食物を飲み込むことができなくなり、昏睡状態に陥った後に死亡します。

症状が出現して、死に至るまでは10日程度~14日程度です。

原因:狂犬病の原因は、狂犬病ウィルスの感染です。発症した動物の唾液中には大量のウィルスが存在するため、このような動物にかまれると傷口からウィルスが侵入し、ウィルスは末梢神経や中枢神経である脳や脊髄などへと広がります。

治療:感染して症状が出てしまった場合、有効な治療法は現在ありませんが、最近では人が感染した場合、患者を昏睡状態にして行う新しい治療法が考案され、まだまだ治療実績は少ないですが、回復する例も出てきています。

犬が感染した場合は、安楽死させるのが常で感染した犬に人がかまれた場合は、狂犬病の予防接種を連続して行います。

これは、暴露後免疫といい通常は初回ワクチン接種日を0日として、3日、7日、14日、30日そして90日の計6回を接種することにより、ほとんどの発症を防ぐことができます。

予防:狂犬病予防法という法律で、年に1回のワクチン接種が義務付けられています。

ただし、日本で使用されているワクチン製剤の性質から、最初の1回の接種だけでは十分な免疫効果が得られないことが多いため、海外に犬を連れていく場合などは、獣医師の指示により1ヶ月程度の間隔で複数回の接種が必要なこともあります。

 

犬ジステンパー

好発犬種:6ヶ月以下の若い犬

症状:潜伏期間は4日~7日で、発熱から始まり、その後呼吸器、消化器、皮膚、神経などのさまざまな症状があらわれ、致命率の高い病気です。

呼吸器の症状としては、鼻炎や肺炎になることにより、鼻水や咳などがみられます。

特に膿のような鼻水が特徴的です。

化器系の症状では、下痢や嘔吐、場合によっては腸閉塞を起こすことがあります。

皮膚では、腹部など毛の薄い部分に発疹がみられることがあります。

また、鼻の頭や四肢の肉球部分が硬くなるハードパットと呼ばれる症状が出ることもあります。

神経症状としては、急性から慢性の脳炎がみられることがあります。

脳炎になるとけいれんや麻痺、または中枢性の失明といった思い症状がみられます。チックなどと呼ばれる顔面のけいれんが起こることもあります。

脳炎は、他の症状が一旦落ち着いた後で出るケースが多いのですが、最初からみられる場合や年をとった犬で他の症状がなく突然脳炎になることもあります。

原因:犬ジステンパーウィルスの感染が原因です。神瀬⒮ンしている犬の目ヤニや鼻水、唾液、尿、便などに接触したり、感染している犬の咳やくしゃみから飛散したウィルスを吸い込むことで感染します。

ワクチン未接種の赤ちゃんやワクチンを適切に接種していない犬では発症する危険が高まります。

治療:残念ながら特効薬や有効な治療はありません。点滴や抗生剤などでの対症療法や猫インターフェロンが有効であるとされています。

予防:適切なワクチン接種で98%以上発症を予防できるといわれています。

犬ジステンパーウィルスは感染力を失いやすいので、病気の犬に触った場合は、手で石けんでよく手を洗い、着ていたものは普通に洗濯すれば他の犬に感染させる危険を大幅に減らすことができます

部屋など環境の消毒は、アルコールや普通の拭き掃除に使う濃度の塩素洗剤などが有効です。

 

犬伝染性肝炎

好発犬種:1歳未満の犬、高齢犬

症状:主に肝臓、腎臓、目が侵され発熱や嘔吐、下痢、腹痛、黄疸などの症状が現れます。

ただし、重症度は様々で重い場合は脳炎を起こしたり、虚脱、昏迷、昏睡、麻痺などの症状があらわれ半日~1日で死亡に至るケースもあります。

また、回復期にブルーアイ(目の角膜が青白く濁ってみえる)になることがあり、まれに緑内障に進行することがあるので注意が必要です。

原因:犬アデノウィルスⅠ型の感染が原因で感染している犬の分泌物である尿、便、唾液、涙、鼻水などにウィルスが含まれ、それが直接または間接的に他のい犬に接触して感染します。

治療:有効な治療薬はありません。

点滴、輸血、食事療法などで肝臓の機能が回復するのを待ちます。

細菌によって肺炎や腎盂炎といった二次感染を起こすことがあるので、抗生剤を投与することがあり、また猫インターフェロンが有効とされます。

予防:適切なワクチン接種で98%以上発症を予防できます。

ただし、犬ジステンパーなどに比べてワクチンの効果が低い可能性が示唆されています。

犬アデノウィルスⅠ型は強いウィルスで、感染する力を弱めることが難しいため、予防に関してはかかりつけの獣医に相談しましょう。

 

パルボウィルス感染症

好発犬種:若齢犬(生後2ヶ月前後)、ロットワイヤー、ドーベルマン、ジャーマン・シェパード、ラブラドール・レトリバー

症状:2日~5日の潜伏期間後、激しい嘔吐が起こります。その後、下痢や粘液状の血便が起こり、激しい脱水とただれた腸の粘膜からの細菌感染で急激に重症化します。赤ちゃにぬが感染すると心筋炎になることがありますが、症例数は減少傾向にあります。

また、けいれんなど神経の症状もみられることもあります。心臓や神経の症状がみられる犬では、命を落とす例が少なくありません。

消化器系の症状だけの場合でも、集中治療が必要なことが多くあります。

原因:犬パルボウィルスの感染によって発症します。感染した犬の便や吐物、使用した食器などから他の犬に経口感染します。

治療:脱水症状を改善するため、輸血や点滴を行い、猫インターフェロンが有効とされています。

予防:適切なワクチン接種で98%以上発症を予防できます。

もし、犬パルボウィルス感染症を発症した場合は隔離する必要があります。

 

ケンエンルコフ

好発犬種:若齢犬、純血種(繁殖施設や販売施設での集団発生あり)

症状:”犬の風邪”と言われるように咳がメインで軽い発熱がみられることがあります。

運動などをきっかけに発作のような咳をして吐いてしまう場合もあります。

病院の診察では軽く気管の触診をしただけでも咳の発作が起こることがあります。

ほとんど場合、1~2週間で回復します。

しかし、子犬や高齢犬の場合、急激に重症化して肺炎を起こすことがあるので注意が必要です。

咳症状の病気は他にもたくさんあるため、犬が発作のような咳をしたら必ず動物病院で診察を受けるようにしましょう。

治療:抗生物質や気管支拡張剤での治療が一般的です。合併症が起きていなければ、安静にすることで自然に治癒することも多く、症状に応じて投薬療法を行うことが少なくありません。

予防:原因となるウィルスや細菌のいくつかは、ワクチンを接種することで予防が可能ですが、症状を完全に抑えるだけでの効果は得られないこともあります。

また、若い犬や心臓病などの慢性疾患を持つ犬では、たくさんの犬が集まるような場所は避ける方が無難です。空気感染をする可能性があるため、環境の消毒は天井まで含めて広い範囲で行う必要があります。

 

犬コロナウィルス感染症

好発犬種:1歳未満の若齢犬

症状:成犬は感染してもほとんど症状はみられません。もしあっても軽い下痢や食欲の低下、嘔吐程度です。

しかし、子犬が感染した場合は症状が強くあらわれることがあり、下痢が長引く場合は脱水症状を起こすこともあります。

犬パルボウィルスと混合感染を起こすことで症状が重くなり命にかかわることもあります。

原因:犬コロナウィルスの感染によって起こるウィルス性腸炎。感染した犬の便に含まれるウィルスが、口から侵入することで感染します。道端の便のにおいを嗅いで口に入ってしまったり、踏んでしまった脚を舐めることで経口感染してしまうこともあるので注意が必要です。

治療:合併症がなければ輸液や抗生物質の投与、食事制限により1週程度で回復することがほとんどです。

症状が強く、脱水を起こしている場合は、パルボウィルスや際位筋などの混合感染の可能性があるため、適切な処置が必要になります。成犬では、ほとんど症状が出ないため、感染している成犬がウィルスをまき散らす可能性があります。

予防:ワクチンもありますが、世界小動物獣医師会のワクチンに関するガイドラインでは、ウィルス自体の病原性が低いことなどから接種を勧めていません。

このウィルスは弱いので、石けんによる手洗いや通常の衣服の洗濯で感染力を弱めることができます。

 

レプトスピラ病

好発犬種:特になし

症状:レプトスピラ菌は、いくつかの型に分けられ、感染した菌の型によって症状が異なります。

カニコーラ型』では嘔吐や脱水がみられ、口の中や下の表面い潰瘍がみられることもあります。

また、腎炎を起こす場合もあります。

黄疸出血型』によって引き起こされる症状は、突然の高熱、食欲の低下、全身の震え、嘔吐、口内粘膜や歯茎からの出血、結膜の充血、黄疸などがあります。

どちらの型でも重症化した場合は、2~4日で死亡に至ります。

原因:レプトスピラ菌に感染することで発症します。

最大の感染源はネズミです。ネズミは感染していても症状が出ないため生きている間中、尿からこの菌を含んだ尿や尿の混じった水などをなめたり飲んだりすることで犬に感染します。

治療:抗生物質による治療が一般的です。

また、症状に応じて脱水があれば輸液、肝臓障害があればビタミン剤や強肝剤の投与、尿毒症があれば腹膜透析などが施されます。

予防:ワクチンで一定の効果が認められています。

しかし、他のウィルス性の感染症のワクチンと異なり1年未満という短い間隔で追加接種をする必要があります。

また、菌の型によってワクチンが異なるため、どの種類のワクチンを接種するかは生活している地域の獣医とよく相談しましょう。

細菌は、湿った土の中や水の中で長く生存することが可能なため、屋外の電柱や水たまりなどは常に感染源になる可能性があります。

 

犬ブルセラ病

好発犬種:純血種(繁殖施設で発生しやすい)

症状:外からみてわかる症状はほとんどありません。

メスでは出産予定日の1~2週間前に流産することが多くあります。

また、オスでは精巣や前立腺の炎症、精子の劣化による不妊がみられることがあります。

外見上健康なメス犬が出産予定日の1~2週間前に流産した場合は、犬ブルセラ病を疑う必要があります。

また、一部には椎間板の炎症や腎炎が起こる場合もあります。

原因:ブルセラ・カニスという小さな細菌が動物の細胞の中に感染することによって引き起こされる感染症。

主な感染源は流産した胎児、精液、膣分泌物などで口や粘膜から体内に侵入します。

これらから人に感染する場合もあるため注意が必要です。

治療:抗生物質の長期投与が必要です。

しかし、完全に菌を体内から追い出すことは難しく、人に感染する危険があることから安楽死させることもあります。

予防:有効なワクチンはありませんが、繁殖施設や販売施設など犬をたくさん管理する場所では、抗体の検査で感染している犬としていない犬を隔離する必要があります。

 

いかがだったでしょうか?
今回は、

犬の感染症8種類の症状、原因、治療、予防

について詳しくご紹介させていただきました。

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